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“学を楽しみ、知に遊ぶ”〜「和算」がつなぐ物語(2) ~最古の算額が結ぶ、京と東の粋な縁~

(前略)


1686年に奉納されて以来、上から絵を描かれてしまうなど、算額として認識も評価もされることなく、ひっそりと330年余もの月日を重ねてきたこの歴史遺産。

それを発見したのは、なんと栃木県にある小山高等工業専門学校の松崎利雄教授でした。

1982年、公務で京都を訪れていた松崎教授は、たまたま参拝に立ち寄った北野天満宮で絵馬処を見上げたところ、一枚の気になる額を見つけます。

在京の研究者に連絡し調査してもらったところ、間違いなく算額であることが判明し、発見当時は様々なメディアで報道されたそうです。

ちなみに松崎教授は、和算史だけでなく伊能忠敬をはじめとする日本測量史の大家でもあるそうですが、ふらっと立ち寄った絵馬処で、あんなに遠く薄暗い中に掲げられた剥落のひどい額を見て、算額であることを見抜くなど、神としか思えません!

実は、この算額より3年早く奉納された算額が、やはり栃木県の佐野市にある星宮神社に今も保管されているのですが、残念なことに火災に遭って判読できなくなってしまい、今は複製が飾られているそうです。

和算の大家で「算聖」と称えられ、同時代のライプニッツニュートンと比肩しうるほどの微積分学や代数学を打ち立てた関孝和の出身地も、上野国(群馬県)という説もあるようですし、北関東には和算への情熱が古くから根付いていたのかもしれませんね。

北野天満宮には、最古の算額以外にも幾つかの算額が奉納されています。

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中には、遠くニュージーランドから奉納された算額も!


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神社仏閣はその昔から「知性とアートのテーマパーク」だった訳で、算額奉納により境内は数学者や数学愛好家の研究発表や交流の場となり、庶民の基礎学力を向上させるのに大いに貢献したことでしょう。

中でも北野天満宮は、京の都から発祥した茶道・華道・書道はもとより、能や歌舞伎など伝統文化・芸能の各流派から、今も厚い崇敬を集める特別な存在。

ここ数年は、「知と芸術のプラットフォーム」としての神社の役割をより発展させようと、京都大学から室長を招き「北野文化研究所」も創設されました。

狭義の意味でのアカデミズムや画壇から、真の知性やアートを解き放ち、学問や芸術本来が持つ知的興奮および感動によって湧き起こる活力や生命力を取り戻させる装置として、北野文化研究所の活躍・発展に心から期待しています!

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全文はこちらをご覧ください。
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